2026年11月1日から、電気を送るための送配電網の利用料である「託送料金」が見直されます。これを受けて、託送料金が上がるエリアの大手電力会社も、11月から電気料金の単価を引き上げます。
託送料金は、どの電力会社と契約していても、電気代の中に含まれている費用です。東京電力エナジーパートナーの従量電灯B(30A・月260kWh)では、今回の見直しで電気代が月254円上がります。
この記事では、託送料金のしくみと11月の見直しの内容、契約アンペアや使用量によって変わる値上げ額、値上げに備えて確認したいことを紹介します。
※料金単価や値上げ額は、各社の公式サイト・プレスリリース(2026年10月5日時点)をもとにしています。電気料金の計算例は、特に記載がない場合、燃料費調整額・再生可能エネルギー発電促進賦課金を含みません。
この記事のポイント
- 託送料金は送配電網の利用料で、基本料金や電力量料金に含まれている
- 同じエリアなら、大手電力でも新電力でも託送料金は同じ
- 2026年11月1日から、8つのエリアで託送料金が上がる
- 東京電力EPの従量電灯B(30A・月260kWh)は月254円の値上げ
- 東京電力EPは基本料金が約26%上がり、契約アンペアが上がるほど値上げ額が増える
- 新しい単価で、契約アンペアと使用量から電気代を確かめる
託送料金とは?電気代に含まれる送配電網の利用料

託送料金は、発電所でつくった電気を家庭まで届けるために使う、送電線や電柱などの送配電網の利用料です。まずは、託送料金がどのように電気代に含まれているのかを確認しましょう。
電力会社が送配電会社に支払い、電気代に含めて請求している
電気は、発電所から送電線・変電所・配電線を通って家庭に届きます。この送配電網を管理しているのは、東京電力パワーグリッドや関西電力送配電など、全国10社の一般送配電事業者です。
家庭が契約している電力会社(小売電気事業者)は、送配電網を使う料金として、一般送配電事業者に託送料金を支払っています。そして、その費用を基本料金や電力量料金の中に含めて、家庭に請求しています。
託送料金は、送配電網を利用するすべての電力会社にかかります。そのため、同じエリアであれば、大手電力会社でも新電力でも同じ託送料金が電気代に含まれています。電力会社によって電気代が違うのは、託送料金以外の、電気の調達にかかる費用や販売にかかる費用、料金プランの設計が違うためです。
東京電力パワーグリッドの低圧(家庭など)の託送料金の平均単価は、見直し前で1kWhあたり8.58円(税抜)です(※)。月260kWh使う家庭なら、平均単価で単純に計算すると約2,230円(税抜)が託送料金にあたります。電気代の内訳は電気代の計算方法で解説しています。
| 電気代の項目 | 内容 | 託送料金との関係 |
|---|---|---|
| 基本料金 | 契約アンペアなどで決まる毎月の料金 | 託送料金が含まれている |
| 電力量料金 | 使った電気の量に応じた料金 | 託送料金が含まれている |
| 燃料費調整額 | 燃料の価格に応じて毎月変わる料金 | 含まれていない |
| 再エネ賦課金 | 再生可能エネルギーの普及のための費用(2026年度は1kWhあたり4.18円) | 含まれていない |
※2026年10月時点
出典:経済産業省「再生可能エネルギーのFIT制度・FIP制度における2026年度以降の買取価格等と2026年度の賦課金単価を設定します」(再エネ賦課金の単価)
(※2026年10月時点 東京電力パワーグリッド「託送供給等約款の変更届出について」)
託送料金は「レベニューキャップ制度」で国が承認している
託送料金は、一般送配電事業者が自由に決められるわけではありません。2023年度から、レベニューキャップ制度というしくみで決められています。
レベニューキャップ制度では、一般送配電事業者が5年間の事業計画と、送配電網の維持や更新に必要な費用をもとに「収入の見通し(収入の上限)」をまとめ、経済産業大臣の承認を受けます。託送料金の単価は、この承認された収入の見通しをもとに決まります。最初の規制期間は、2023年度から2027年度までの5年間です(※)。
送配電網は、電力会社が変わっても同じものを使い続ける共通の設備です。そのため、必要な投資をしながら、むだなコストを抑えられているかを国が確認するしくみになっています。
今回の11月の見直しは、物価などの変動分を、規制期間の途中で収入の見通しに反映するために申請されたものです。電力自由化で電力会社を選べるようになったしくみは電力自由化とはで紹介しています。
(※2026年10月時点 東京電力パワーグリッド「『託送供給等に係る収入の見通し』の変更承認申請について」)
11月1日の託送料金の見直しで、何が変わる?

今回の見直しは、物価や労務費、金利の上昇を受けて、一般送配電事業者8社の収入の見通しが変更されたことによるものです。託送料金の変更内容と、電気料金への反映を見ていきましょう。
資材価格・労務費・金利の上昇で、8社の託送料金が上がる
2026年9月4日、経済産業大臣が一般送配電事業者8社の収入の見通しの変更を承認し、11月1日から新しい託送料金が適用されることになりました(※1)。
対象は、北海道・東北・東京・中部・関西・四国・九州・沖縄の8つのエリアの一般送配電事業者です(※2)。北陸電力送配電と中国電力ネットワークは、今回の変更の対象に含まれていません。
関西電力送配電は、見直しの理由として、送配電設備に使う銅・アルミ・鋼材などの資材価格の上昇、工事を担う人の労務費の上昇、金利の上昇をあげています(※3)。
東京電力パワーグリッドでは、低圧の託送料金の平均単価が1kWhあたり8.58円から9.65円へ、1.07円(税抜)上がります(※4)。高圧や特別高圧の単価も上がりますが、家庭が使う低圧の上がり幅(1.07円)は、高圧(0.35円)の約3倍です。
新しい託送料金は、関西電力送配電の場合、2026年11月1日から2028年3月31日までの17か月間適用されます(※5)。
| 電圧 | 見直し前 | 見直し後 | 差額 |
|---|---|---|---|
| 低圧(家庭など) | 8.58円/kWh | 9.65円/kWh | +1.07円 |
| 高圧(中小ビルなど) | 3.78円/kWh | 4.13円/kWh | +0.35円 |
| 特別高圧(工場など) | 2.05円/kWh | 2.11円/kWh | +0.06円 |
※2026年10月時点
出典:東京電力パワーグリッド「託送供給等約款の変更届出について」
(※1 2026年10月時点 経済産業省「一般送配電事業者8社の託送供給等に係る収入の見通しの変更承認申請を承認しました」)
(※2 2026年10月時点 送配電網協議会「一般送配電事業者による『託送供給等に係る収入の見通し』の変更承認申請について」)
(※3,5 2026年10月時点 関西電力送配電「託送料金における収入の見通しの変更承認について」)
(※4 2026年10月時点 東京電力パワーグリッド「託送供給等約款の変更届出について」)
大手電力会社は、託送料金の変動分を電気料金に反映する
託送料金が上がると、それを支払っている電力会社のコストも上がります。そのため大手電力会社は、11月1日から託送料金の変動分を電気料金の単価に反映します。
東京電力エナジーパートナーは、従量電灯などの規制料金メニューと、スタンダードやスマートライフなどの自由料金プランの単価を見直します。ただし、託送料金が変わらない北陸エリアの料金は見直しません(※1)。東北電力も、従量電灯Bなどの基本料金と電力量料金を引き上げます。
今回の見直しで、契約者が手続きをする必要はありません(※2)。東京電力エナジーパートナーでは、2026年11月1日から新しい単価が反映されます。検針期間が11月1日をまたぐ場合の計算方法は、契約している電力会社のお知らせで確認しましょう。
なお、国の電気・ガス料金の支援は9月使用分で終わっています(※3)。託送料金の見直しとは別の理由で電気代が上がるため、11月以降の請求額はあわせて確認しておきましょう。くわしくは電気代は10月から値上げ?補助終了と託送料金改定で解説しています。
(※1,2 2026年10月時点 東京電力エナジーパートナー「低圧の料金メニューの見直しについて」)
(※3 2026年10月時点 資源エネルギー庁「今夏の電気・ガス料金支援(2026年7月~9月)」)
託送料金の見直しで、電気代はいくら変わる?

値上げ額は、電力会社や契約アンペア、使用量によって変わります。ここでは、東京電力エナジーパートナーの従量電灯Bを例に、どの家庭にどれくらい影響があるのかを計算しました。
東京電力EPの従量電灯Bは、基本料金が約26%上がる
東京電力エナジーパートナーの従量電灯Bでは、今回の見直しで基本料金が約26%上がります。30Aの場合、月935.25円から1,176.18円へ、240.93円の値上げです(※1)。
一方、電力量料金の単価は、3つの段階すべてで1kWhあたり0.05円の値上げにとどまります。最初の120kWhまでが29.80円から29.85円、300kWhを超える分は40.49円から40.54円になります。電気を使わなかった月などにかかる最低月額料金も、328.08円から368.64円に上がります。
平均的な家庭(30A・月260kWh)の電気代は、燃料費調整額と再エネ賦課金を含めて、月9,307円から9,561円へ254円上がります(※2)。燃料費調整額は、2026年11月分の単価です。このうち240.93円が基本料金の値上げ分で、値上げ額の約95%を基本料金が占めています。
同じ東京エリアでも、新電力の料金がどう変わるかは会社によって違います。従量電灯Bのしくみは規制料金と自由料金の違いでも紹介しています。
| 項目 | 見直し前 | 見直し後 |
|---|---|---|
| 基本料金 30A | 935.25円 | 1,176.18円 |
| 基本料金 40A | 1,247.00円 | 1,568.24円 |
| 基本料金 60A | 1,870.50円 | 2,352.36円 |
| 電力量料金(120kWhまで) | 29.80円/kWh | 29.85円/kWh |
| 電力量料金(120〜300kWh) | 36.40円/kWh | 36.45円/kWh |
| 電力量料金(300kWh超) | 40.49円/kWh | 40.54円/kWh |
※2026年10月時点
出典:東京電力エナジーパートナー「電気料金単価表(低圧)」
(※1 2026年10月時点 東京電力エナジーパートナー「電気料金単価表(低圧)」)
(※2 2026年10月時点 東京電力エナジーパートナー「託送料金見直しの当社電気料金への反映および供給条件の一部見直しならびに特定小売供給約款の変更届出について」)
契約アンペアが上がるほど、値上げ額が増える
東京電力エナジーパートナーの従量電灯Bでは、値上げ額の約95%が基本料金なので、契約アンペアが上がるほど値上げ額が増えます。基本料金は10Aあたり80.31円上がるため、10A上がるごとに値上げ額も月80円ずつ増える計算です。月260kWh使う場合、30Aでは月254円ですが、40Aでは月334円、60Aでは月495円の値上げです。
また、基本料金は使用量にかかわらず毎月かかるため、使用量が少ない家庭ほど、電気代に対する値上げの割合が上がります。30Aで計算すると、月100kWhの家庭は電気代が約6.3%上がるのに対し、月400kWhの家庭は約1.7%の値上げです(燃料費調整額・再エネ賦課金を除いて計算)。
一人暮らしで使用量が少ないのに40Aや50Aで契約している場合は、今回の値上げをきっかけに、契約アンペアが今の暮らしに合っているかを確認してみましょう。今の契約アンペアは、明細や電力会社の会員サイトで確認できます。アンペアの目安は契約アンペアの目安で紹介しています。
東北電力は電力量料金も上がるなど、エリアによって違う
託送料金の上がり幅や、電気料金への反映のしかたは、エリアや電力会社によって違います。たとえば東北電力の従量電灯Bでは、基本料金が10Aあたり41.11円、電力量料金が1kWhあたり1.39円上がります。平均的な家庭(30A・月260kWh)では、月485円の値上げです(※)。
東京電力エナジーパートナーは主に基本料金を引き上げるのに対し、東北電力は電力量料金も引き上げるため、使用量が増えるほど値上げ額も増えます。月260kWhなら、電力量料金の値上げ分だけで約361円です。同じ託送料金の見直しでも、電気代への影響の出方は異なります。
北陸エリアと中国エリアは、今回の託送料金の変更の対象に含まれていません。ただし、電気代は燃料費調整額や各社の料金改定によっても変わるため、契約している電力会社のお知らせを確認しておきましょう。
- 東京電力EP(従量電灯B):主に基本料金が上がる。30A・月260kWhで月254円
- 東北電力(従量電灯B):基本料金と電力量料金の両方が上がる。30A・月260kWhで月485円
- 北陸・中国エリア:今回の託送料金の変更の対象外
(※2026年10月時点 東北電力「託送料金の変更に伴う電気料金の見直しについて」)
11月からの電気代を、自分の使用量で確かめる

託送料金の見直しで、11月から大手電力会社や一部の新電力で電気代が変わります。契約している電力会社のお知らせを確認し、自分の使用量でいくら変わるかを確かめておきましょう。
新電力も、託送料金の見直しを料金に反映することがある
託送料金は新電力にもかかるため、新電力でも11月から料金単価を見直すことがあります。たとえばイッツコムは、東急パワーサプライの電気サービスについて、東京電力パワーグリッドの11月1日の託送料金の改定を受け、従量電灯B・Cなどの料金単価の見直しの検討を始めたとお知らせしています(※)。具体的な単価は、確定しだい案内するとしています。
ただし、託送料金の上がった分をどの項目に反映するかや、反映するかどうかは会社によって違います。基本料金を上げる会社もあれば、電力量料金に上乗せする会社もあります。基本料金がない料金プランでは、電力量料金の単価が見直されることがあります。
電力会社から「料金改定のお知らせ」がメールや郵送で届いていないか確認しましょう。見直しの内容がわかれば、自分の使用量で値上げ額を計算できます。大手電力と新電力の違いは大手電力と新電力の違いで解説しています。
- 契約している電力会社から「料金改定のお知らせ」が届いていないか
- 基本料金と電力量料金の、どちらがいくら上がるのか
- 見直しの開始日(11月1日の使用分から、など)
(※2026年10月時点 イッツコム「託送料金改定に伴う電気料金単価の見直し検討開始について」)
契約アンペアと使用量で、値上げ後の電気代を確かめる
東京電力エナジーパートナーの従量電灯Bのように基本料金が上がる場合は、契約アンペアを下げると、見直し前より節約額が増えます。40Aから30Aに下げると、見直し後は基本料金が月392.06円、年間で約4,700円安くなります(見直し前は月311.75円)。ただし、アンペアを下げると同時に使える家電が減るため、ブレーカーが落ちないかも考えて決めましょう。
また、料金プランによって基本料金と電力量料金のバランスは違うため、同じ使用量でも、値上げ後の電気代には差が出ます。基本料金の値上げは使用量にかかわらず毎月かかり、電力量料金の値上げは使用量に比例して増えます。自分の使用量で、それぞれの値上げ分がいくらになるかを確かめておきましょう。
値上げ後の電気代は、明細の使用量と新しい単価で計算できます。電気料金シミュレーションでも、郵便番号と世帯人数を入れると、料金プランごとの電気代の目安を確認できます。計算に使う単価は、契約している電力会社のお知らせや料金表に書かれています。
よくある質問
Q. 託送料金は、電気代の明細のどこに書いてありますか?
託送料金は、基本料金や電力量料金の中に含まれていて、一般的な明細では別の項目として書かれていません。単価が変わったかどうかは、電力会社から届く料金改定のお知らせでも確認できます。託送料金そのものの単価は、各エリアの一般送配電事業者の公式サイトで公表されています。明細の見方は検針票の見方で解説しています。電気代が上がったときは、まず基本料金と電力量料金の単価が変わっていないかを確認するとわかりやすいでしょう。
Q. 新電力に切り替えれば、託送料金はかかりませんか?
新電力も大手電力と同じ送配電網を使って電気を届けているため、託送料金はかかります。同じエリアであれば、どの電力会社でも託送料金の単価は同じです。ただし、電気の調達にかかる費用や料金プランの設計は会社によって違うため、電気代は電力会社ごとに変わります。託送料金の見直しによる値上げ額も、料金プランのどこに反映するかによって、会社ごとに違います。11月以降の単価は、契約している電力会社のお知らせで確認しましょう。
Q. 託送料金の見直しと、補助金の終了による値上げは別のものですか?
別のものです。国の電気・ガス料金の支援は9月使用分で終わり、10月使用分から値引きがなくなりました。託送料金の見直しは11月1日からで、支援の終了とは別に電気料金の単価が上がります。そのため、11月以降の電気代は、両方の影響を受けることになります。東京電力エナジーパートナーの平均モデルでは、託送料金の見直しによる値上げは、30A・月260kWhで月254円です。補助金については電気代の補助金はいつまでで紹介しています。
Q. 託送料金は、これからも上がりますか?
今回の託送料金は、関西電力送配電の場合、2028年3月31日まで適用されます。2028年度からは次の規制期間が始まり、託送料金は改めて国の承認を受けて決まります。物価や金利の動きによって変わるため、上がるか下がるかは決まっていません。託送料金が変わるときは、各電力会社がホームページやメール、郵送のお知らせで案内します。契約している電力会社からのお知らせを確認しておきましょう。次の規制期間の託送料金も、各エリアの一般送配電事業者が公表します。
まとめ|託送料金の見直しで、11月から電気代が変わる
託送料金は、送配電網の利用料として、どの電力会社の電気代にも含まれている費用です。2026年11月1日から8つのエリアで託送料金が上がり、大手電力会社が電気料金の単価を引き上げます。
東京電力エナジーパートナーの従量電灯Bでは、値上げの約95%が基本料金で、契約アンペアが上がるほど値上げ額が増えます。契約アンペアと使用量で、11月からの電気代を確かめておきましょう。
※料金・制度の情報は2026年10月時点のものです。電気料金の計算例は、特に記載がない場合、燃料費調整額・再生可能エネルギー発電促進賦課金を含みません。





















































電力アナリスト
佐藤 健一
託送料金は、どの電力会社と契約していても電気代に含まれている費用です。同じエリアであれば、大手電力でも新電力でも同じ託送料金がかかります。一方で、託送料金の上がった分を料金単価のどこに反映するかは、電力会社や料金プランによって違います。11月以降は、新しい単価で自分の電気代がいくら変わるかを確かめておきましょう。