電力会社の乗り換え
電力会社の切り替え方法を3ステップで解説|必要書類と注意点まとめ
「電力会社を切り替えたいけれど、何から始めればいいのかわからない」という方は多いのではないでしょうか。結論から言うと、電力会社の切り替えはWebで5〜10分の申し込みだけで完了し、工事や立ち会いは一切不要です。
電力自由化により、2016年4月からすべての家庭で自由に電力会社を選べるようになりました。切り替えても電線や送配電網は今までと同じものを使い続けるため、停電のしやすさや電気の品質は変わりません。
この記事では、電力自由化研究家の視点で電力会社を切り替える3つのステップと、事前に用意しておきたい書類、切り替え時の注意点を整理します。初めて切り替える方でも迷わず進められる内容です。
目次
電力会社切り替えの流れ早見表

まずは全体の流れをざっと確認しておきましょう。詳細は後述しますが、この早見表を見れば全体像がつかめます。
| ステップ | 内容 | 所要時間の目安 |
|---|---|---|
| ①比較 | 使用量を確認し、電力会社・プランを比較する | 10〜15分 |
| ②申し込み | Webから契約者情報・供給地点特定番号などを入力する | 5〜10分 |
| ③自動切替 | 次回検針日にあわせて自動的に切り替わる | 申し込みから約2〜4週間 |
※スマートメーター未設置の家庭は、送配電会社による無料の交換工事が別途入るため、切替までの期間がやや長くなる場合があります。
電力会社の切り替えとは?知っておきたい基礎知識

具体的な手順に入る前に、切り替えの仕組みをおさえておきましょう。仕組みがわかると、安心して手続きを進められます。
切り替えても停電しやすくなることはない
電力会社を切り替えても、電気を家庭まで届ける「送配電網」は、これまでと同じ地域の送配電会社(東京電力パワーグリッドなど)が管理し続けます。契約する電力会社が変わるのは、あくまで発電・小売の部分だけです。そのため、切り替え後も停電のしやすさや電気の品質は一切変わりません。
工事や立ち会いは不要
新しい電力会社への切り替えは、原則として工事も立ち会いも不要です。すでにスマートメーターが設置されている家庭であれば、Webでの申し込みだけで手続きが完了します。まだスマートメーターが設置されていない場合のみ、送配電会社による無料の交換工事が入りますが、この場合も長時間の立ち会いが必要になることは基本的にありません。
今の電力会社への解約連絡は原則不要
「切り替える前に、今契約している電力会社に解約の連絡をしなければ」と思う方もいますが、その必要はありません。新しい電力会社が送配電会社と連携し、旧契約の解約手続きを代行してくれるためです。
スマートメーターとは何か
切り替え手続きの説明でたびたび登場する「スマートメーター」とは、電気の使用量を自動で計測し、通信機能によって送配電会社にデータを送信できる次世代の電力量計です。従来の検針員による目視検針が不要になるほか、電力会社の切り替え時にも遠隔操作で契約情報を切り替えられるため、工事や立ち会いなしでのスムーズな切替が可能になっています。
現在、多くの家庭にはすでにスマートメーターが設置されていますが、古い建物や一部の地域では従来型のアナログメーターのままになっているケースもあります。スマートメーターが未設置の場合のみ、送配電会社による交換工事が発生します。
※スマートメーターが設置済みかどうかは、検針票やメーターの表示画面(デジタル表示か、従来のアナログ式の円盤か)で確認できるほか、契約中の電力会社に問い合わせても確認できます。
※引っ越しにあわせて電力会社を切り替える場合の手続きは引っ越し時の電気の手続きで詳しく解説しています。この記事では、今の住まいのまま契約先だけを切り替えるケースを中心に解説します。
切り替え前に用意しておきたいもの
申し込みをスムーズに進めるために、事前に手元に用意しておきたい情報をまとめました。
検針票またはマイページ
現在契約している電力会社が発行する検針票、またはWebマイページ(東京電力エリアなら「くらしTEPCO web」)に、申し込みに必要な情報がまとまっています。
申し込み時に確認しておきたい情報
- お客様番号:現在契約している電力会社が発行する番号(検針票に記載)
- 供給地点特定番号(22桁):電気の供給地点を示す番号。検針票やマイページで確認可能
- 契約アンペア数:現在契約しているアンペア数(10A〜60A)
- 直近の電気使用量:過去1〜12ヶ月分の使用量(kWh)
使用量がわかると比較の精度が上がる
過去12ヶ月分の使用量がわかると、季節による変動を含めた年間の電気代シミュレーションが可能になります。多くの電力会社のマイページでは、過去1年分の使用量グラフを確認できるため、切り替え前に必ずチェックしておきましょう。
電力会社切り替えの3ステップ
必要な情報が揃ったら、実際の切り替え手続きに進みます。手順はどの電力会社でもほぼ共通しており、大きく3ステップです。
ステップ1:新しい電力会社・プランを比較する
まずは自分の使用量や生活スタイルに合った電力会社・プランを探します。郵便番号と世帯人数を入力するだけで、地域や家庭に合った電気代の目安をシミュレーションできるツールを使うと、比較の手間を大きく減らせます。
- 電力量料金の仕組み(従量料金型・固定単価型など)を確認する
- 基本料金・解約金の有無を確認する
- セット割やポイント還元の条件を確認する
比較するときにチェックしたい5項目
- 料金体系:使用量に応じて単価が変わる従量料金型か、使用量にかかわらず一律の固定単価型か
- 燃料費調整額の有無・上限:上限がないプランは燃料価格高騰時に料金が上がりやすい
- 基本料金:契約アンペア数や契約容量によって変わるため、現在の契約と同条件で比較する
- 特典・セット割:ポイント還元、都市ガスやスマホとのセット割の有無
- 解約条件:契約期間の縛りや解約金の有無
電力会社の主なタイプ
比較の際は、電力会社を大まかなタイプで捉えると選びやすくなります。
- 従量料金型:大手電力会社と同様、使用量に応じて3段階で単価が変わるタイプ。使用量が少ない世帯にも大きな負担増になりにくい
- 固定単価型:使用量にかかわらず単価が一律のタイプ。使用量が多い世帯ほど割安になりやすい
- 時間帯別・季節別料金型:オール電化住宅など、特定の時間帯に電気を多く使う世帯向け
※市場価格に連動して30分ごとに単価が変動する「市場連動型」プランは、料金の見通しが立てづらいため、初めての切り替えでは避けたほうが無難です。
ステップ2:Webから申し込む
契約したいプランが決まったら、電力会社の公式サイトから申し込みます。所要時間の目安は5〜10分です。
申し込み時に入力する主な項目
- 氏名・住所・連絡先などの契約者情報
- お客様番号・供給地点特定番号(検針票またはマイページで確認したもの)
- 契約アンペア数、または契約容量
- 支払い方法(クレジットカード・口座振替・コンビニ払いなど、会社により異なる)
ステップ3:自動切替の完了を待つ
申し込みが完了すると、新しい電力会社が送配電会社と連携し、次回の検針日にあわせて自動的に切り替わります。
- 切替までの期間:申し込みから約2〜4週間後(検針日のタイミングによって前後)
- 切替日以降:新しい電力会社からの請求に切り替わる
- 切替日より前:従来の電力会社からの請求が適用される
切替の作業中も電気の供給が止まることはなく、特別な立ち会いも必要ありません。

電力自由化研究家
鈴木 翔太
切り替え手続きで最も多いつまずきが「供給地点特定番号がわからない」というものです。この番号は検針票の右上や、電力会社のマイページの「契約内容」ページに記載されていることがほとんどです。見当たらない場合は、現在契約している電力会社のカスタマーサポートに問い合わせれば確認できます。
切り替え時に注意しておきたいポイント

手続き自体はシンプルですが、契約内容によっては事前に確認しておくべき点もあります。
切り替え前に確認しておきたい注意点
- 解約金・違約金の有無:一部プラン(オール電化向けやキャンペーン適用プランなど)には契約期間の縛りがある場合がある
- オール電化プランの対応可否:すべての電力会社がオール電化向けプランを用意しているわけではない
- キャンペーン割引の適用期間:初年度限定の割引が終了すると、翌年以降の料金が変わる場合がある
- スマートメーター未設置の場合:交換工事が必要になり、切替までの期間がやや長くなることがある
- 市場連動型プランのリスク:市場価格に応じて単価が変動するプランは、見通しが立てづらい
これらの点は、申し込み前に各社の公式サイトや契約約款で必ず確認しておきましょう。
切り替えでやりがちな失敗と避け方

手続き自体は簡単ですが、比較の仕方を間違えると「思ったより安くならなかった」という結果になりがちです。よくある失敗パターンを押さえておきましょう。
失敗①:電力量料金の単価だけで決めてしまう
電気料金は基本料金・電力量料金・燃料費調整額・再エネ賦課金など複数の要素で構成されています。単価の一部だけを見て「安い」と判断すると、実際の請求額では期待した節約にならないことがあります。年間トータルの試算額で比較するのが失敗を避けるコツです。
失敗②:キャンペーン割引を実質料金と勘違いする
新規契約者向けのキャンペーン割引は、多くの場合初年度限定です。2年目以降の通常料金がいくらになるのかを必ず確認し、割引終了後も含めた長期的な視点で比較しましょう。
失敗③:供給地点特定番号を確認せずに申し込みを始めてしまう
申し込みの途中で番号がわからず手続きが止まってしまうケースはよくある失敗です。検針票やマイページで事前に確認してから申し込みを始めると、スムーズに完了できます。
失敗④:契約期間の縛りを見落とす
「解約金無料」を謳うプランが多い一方で、オール電化向けプランやキャンペーン適用プランの一部には、1〜2年の契約期間が設定されている場合があります。将来的に引っ越しの可能性がある方は、契約前に解約条件を確認しておくと安心です。
失敗⑤:シミュレーションの前提条件を確認しない
電力会社の比較サイトやシミュレーションツールでは、想定使用量や試算条件が会社によって異なる場合があります。「年間○円お得」という表示だけを鵜呑みにせず、自分の実際の使用量に近い条件で試算されているかを確認すると、より実態に近い比較ができます。
供給地点特定番号についてよくある疑問
切り替え手続きで多くの方がつまずく「供給地点特定番号」について、もう少し詳しく解説します。
供給地点特定番号とは
供給地点特定番号は、電気の供給地点(住所)ごとに割り振られた22桁の番号です。全国共通の仕組みで、どの電力会社と契約していても、供給地点特定番号自体は変わりません。切り替え手続きの際は、この番号を使って新しい電力会社が供給地点を特定します。
番号が見つからない場合の対処法
供給地点特定番号は、検針票やマイページの「契約内容」ページに記載されていますが、発行元によって表示位置が異なります。見つからない場合は、以下の方法で確認できます。
- 契約中の電力会社のマイページで契約詳細を確認する
- 契約中の電力会社のカスタマーサポートに電話で問い合わせる
- 過去の検針票やメールでの通知を確認する
※引っ越し等で新規に電気の使用を開始する場合は、供給地点特定番号がまだ発行されていないことがあります。その場合は住所を伝えることで手続きを進められる電力会社もあるため、各社の申し込みページで確認しましょう。
切り替えに適したタイミング

「いつ切り替えても良いのか」「タイミングによって損することはないか」という疑問もよく聞かれます。基本的な考え方を整理しておきましょう。
基本的にはいつ切り替えても問題ない
電力会社の切り替えは、季節や時期を問わずいつでも申し込み可能です。年間契約の縛りがある一部プランを除けば、「今月中に切り替えないと損をする」といった制約は基本的にありません。
キャンペーン適用のタイミングは要チェック
一方で、電力会社によっては期間限定のキャンペーン(ポイント還元やキャッシュバックなど)を実施していることがあります。急ぎでなければ、気になる電力会社のキャンペーン実施状況を確認してから申し込むと、同じ契約内容でもより多くの特典を受けられる場合があります。
使用量が多い季節の直前に見直すのも一案
冬(暖房)や夏(冷房)など使用量が増える季節の直前に見直しておくと、電気代がかさむ時期から新しいプランの恩恵を受けられます。冬の電気代が高い原因と対策もあわせて確認しておくと、季節ごとの見直しポイントが把握しやすくなります。
切り替え完了後にやっておきたいこと
無事に新しい電力会社への切り替えが完了したあとも、いくつか確認しておくとよいことがあります。
初回の請求内容を確認する
切替後最初の請求は、旧電力会社と新電力会社それぞれから、切替日の前後で使用した分が別々に届くことがあります。請求が二重になっているわけではないので、それぞれの請求期間を確認すれば安心です。
マイページへの登録・アプリのダウンロード
多くの電力会社では、使用量や料金をリアルタイムで確認できるマイページやアプリを提供しています。切替後早めに登録しておくと、月々の使用量の推移を把握しやすくなり、その後の節約にも役立ちます。
口座振替・クレジットカード情報の設定を忘れずに
支払い方法の設定が完了していないと、初回請求が振込用紙での支払いになり、手数料がかかる場合があります。切り替え後は支払い方法の登録状況も確認しておきましょう。
電力会社の切り替えに関するよくある質問
Q. 電力会社を切り替えると停電しやすくなりますか?
A. いいえ、停電のしやすさは変わりません。送配電網は契約先によらず地域の送配電会社が管理しているため、切り替え後も同じ品質・安定性で電気が供給されます。
Q. 切り替えにかかる期間はどのくらいですか?
A. 申し込みから約2〜4週間が目安です。次回の検針日にあわせて自動的に切り替わるため、申し込みのタイミングによって多少前後します。
Q. 今契約している電力会社への解約連絡は必要ですか?
A. 基本的に不要です。新しい電力会社が送配電会社と連携し、旧契約の解約手続きを代行してくれます。
Q. 賃貸住宅でも電力会社を切り替えられますか?
A. ほとんどのケースで切り替え可能です。契約者本人の判断で切り替えられますが、一部のマンション(高圧一括受電契約の物件など)では個別契約ができない場合があるため、事前に管理会社や大家さんへの確認が安心です。
Q. 新電力が倒産した場合、電気は止まりますか?
A. 即座に止まることはありません。契約していた電力会社が事業を撤退・倒産した場合でも、送配電会社による「最終保障供給」として一時的に電気の供給が継続されます。その間に別の電力会社を選び直せば問題ありません。
Q. 切り替えの申し込みに費用はかかりますか?
A. 申し込み自体に費用はかかりません。スマートメーターがすでに設置されている家庭であれば、交換工事費用も原則発生しません。未設置の場合の交換工事も、多くのケースで無料です。
Q. 複数の電力会社を比較するにはどうすればいいですか?
A. 郵便番号と世帯人数を入力するシミュレーションが手軽です。各社のプランを個別に調べて計算するのは手間がかかるため、地域・世帯人数に応じた電気代の目安を一度に比較できるツールを使うと効率的です。
Q. 切り替え後、以前の電力会社に戻すことはできますか?
A. はい、いつでも戻せます。新しい電力会社との契約を解除したうえで、以前契約していた電力会社に再度申し込めば契約可能です。ただし、以前と同じキャンペーンや割引が適用されるとは限らないため、料金条件は再度確認しましょう。
Q. 固定単価型と従量料金型、どちらを選べばいいですか?
A. 使用量によって異なります。一般的に、使用量が多い世帯ほど固定単価型のメリットが出やすく、使用量が少ない世帯では従量料金型の方が有利な場合があります。ご自身の月間使用量を確認したうえで、シミュレーションで比較することをおすすめします。
まとめ|電力会社の切り替えは3ステップで完結
電力会社の切り替えは、比較・申し込み・自動切替の3ステップで完了し、工事や立ち会いは基本的に不要です。事前に検針票やマイページで必要な情報を確認しておけば、手続きはスムーズに進みます。
この記事のポイント
- 切り替えても送配電網は変わらず、停電のしやすさや品質に影響はない
- 事前に用意するもの:お客様番号・供給地点特定番号・契約アンペア数・使用量
- 手続きは比較→申し込み→自動切替の3ステップ、所要時間は5〜10分
- 切替完了までの期間は申し込みから約2〜4週間が目安
- 解約金・オール電化対応・キャンペーン適用期間は事前に確認しておく
必要な情報さえ揃えておけば、電力会社の切り替えは決して難しい手続きではありません。まずはご自身の使用量を確認し、シミュレーションで比較するところから始めてみてください。
この記事を監修した人
電力自由化研究家
(元・大手電力会社社員)
大手電力会社に12年間勤務し、料金プラン設計・法人営業を担当した業界経験者。電力会社の「中の人」だった視点から、公式サイトには書かれていない注意点や料金表示のカラクリを発信しています。自身も退職後に3社の電力会社を切り替えた実体験あり。当サイトでは全記事の監修および乗り換え関連記事を担当。プロフィール詳細はこちら
電力自由化研究家
鈴木 翔太
電力自由化は「発電・小売」の自由化であり、「送配電」は今まで通り地域の送配電会社が担っています。この仕組みを理解しておくと、「切り替えたら電気の質が落ちるのでは」といった不安を解消できます。電力自由化の仕組み全体については、別記事でも詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。