季節別の電気代対策
扇風機・サーキュレーターとエアコン併用で電気代は節約できる?効果を解説
「エアコンの電気代を少しでも抑えたい」と考えている方に注目されているのが、扇風機やサーキュレーターとの併用です。結論から言うと、扇風機・サーキュレーターでお部屋の空気を循環させると、エアコンの設定温度を控えめにしても快適さを保ちやすくなり、電気代の節約につながります。
扇風機やサーキュレーターの消費電力はエアコンに比べてずっと小さいため、少しの電気を足して、大きなエアコンの電気代を抑えるという考え方です。この記事では、家計のプロの視点で、併用で節約になる理由・扇風機とサーキュレーターの違い・置き場所や風向きの工夫を、わかりやすく解説します。
※本記事の電気代・省エネ量は、記載の出典および目安単価にもとづく試算です。実際の金額は機種・使用状況・契約中の電力会社のプランによって変わります。
目次
扇風機・サーキュレーターとエアコンの併用が節約になる理由

まずは、なぜ併用が電気代の節約につながるのか、その仕組みを押さえておきましょう。ポイントは「空気の循環」と「消費電力の差」の2つです。
空気を循環させて設定温度を控えめにできる
エアコンの電気代は、設定温度と室温の差が大きいほど高くなります。冷房を強くきかせるほど消費電力も増えるため、設定温度を控えめにできれば、その分だけ電気代を抑えられます。
ここで役立つのが扇風機やサーキュレーターです。冷たい空気は部屋の下にたまりやすく、暖かい空気は上にたまりやすいため、そのままでは部屋の中で温度のムラができます。扇風機やサーキュレーターで空気をかき混ぜると、部屋全体の温度が均一になり、設定温度を下げすぎなくても涼しく感じやすくなります。また、風が体に当たると体感温度が下がるため、冷房を強めなくても快適に過ごしやすくなります。資源エネルギー庁も、冷房時に扇風機を併用すると涼しく感じられると紹介しています。設定温度を下げるのではなく、風で体感温度を下げるという発想が、無理のない節約につながります。まずは扇風機を回してから、エアコンの設定温度を1℃上げても快適かどうかを試してみるとよいでしょう。
扇風機・サーキュレーターの電気代はエアコンより小さい
併用がお得になるもう一つの理由が、扇風機やサーキュレーターの消費電力の小ささです。エアコンの冷房は1時間あたり数円〜十数円かかることがあるのに対し、扇風機やサーキュレーターは消費電力が小さく、1時間あたり数十銭〜1円程度が目安です。
| 機器 | 消費電力の目安 | 電気の使われ方の特徴 |
|---|---|---|
| エアコン(冷房) | 大きい | 設定温度を下げるほど消費電力が増える |
| 扇風機 | 小さい | 人に風を当てて体感温度を下げる |
| サーキュレーター | 小さい | 空気を循環させて温度ムラをなくす |
つまり、消費電力の小さい扇風機・サーキュレーターを足して、消費電力の大きいエアコンの負担を減らすのが、併用による節約の基本的な考え方です。少ない電気で大きな電気を抑える、いわば「てこ」のような使い方といえます。扇風機やサーキュレーター自体の電気代を気にして使わずにいると、かえってエアコンの負担が増えることもあります。小さな電気を足すことでエアコンの消費電力を抑えられるなら、全体では得になりやすいと考えましょう。
冷房の設定温度を上げるとどれくらい節約できる?

併用で設定温度を控えめにすると、実際どのくらい節約になるのでしょうか。公的な試算をもとに、目安を確認しておきましょう。
設定温度を1℃上げると年間約30kWhの省エネ
資源エネルギー庁の試算によると、外気温度31℃のときに冷房の設定温度を27℃から1℃上げると(1日9時間使用)、年間で約30.24kWh、金額にして約940円の省エネになるとされています。扇風機などの併用で無理なく設定温度を1℃上げられれば、この分の節約が期待できます。
あわせて、フィルターの清掃も効果的です。同じく資源エネルギー庁の試算では、目詰まりしたフィルターを清掃するだけで年間約31.95kWh(約990円)の省エネになるとされています。併用と基本のお手入れを組み合わせることで、節約効果はさらに高まります。
| 取り組み(冷房・エアコン2.2kW・1日9時間の試算) | 年間の省エネ量 | 年間の節約額の目安 |
|---|---|---|
| 設定温度を1℃上げる(27℃→28℃) | 約30.24kWh | 約940円 |
| フィルターを清掃する | 約31.95kWh | 約990円 |
※出典:資源エネルギー庁「無理のない省エネ節約」。外気温度・使用時間などの条件により実際の効果は変わります。エアコン全般の電気代はエアコンの電気代もあわせてご覧ください。
扇風機とサーキュレーターの違いと使い分け

「扇風機とサーキュレーターはどう違うの?」と迷う方も多いのではないでしょうか。似ているようで役割が異なるため、目的に合わせて使い分けましょう。
扇風機は「人に風」、サーキュレーターは「空気の循環」
扇風機とサーキュレーターは、風の目的が異なります。扇風機は人に直接風を当てて涼しさを感じさせるための家電で、やわらかく広がる風が特徴です。一方、サーキュレーターは部屋の空気を循環させるための家電で、遠くまで届く直線的な強い風を送ります。
冷房と一緒に使う場合、体に風を当てて涼みたいなら扇風機、部屋の温度ムラをなくして効率を上げたいならサーキュレーターが向いています。どちらか一方でも併用の効果はありますが、役割を理解して選ぶと、より快適に節約できます。両方を持っている場合は、シーンに応じて使い分けるとよいでしょう。たとえば、在宅中で涼みたいときは扇風機で体に風を当て、部屋全体を効率よく冷やしたいときはサーキュレーターで空気を回す、といった使い方です。サーキュレーターは風が強く直線的なので、就寝時に体へ当て続けると冷えの原因になる点には注意しましょう。目的に合った風の使い方を選ぶことで、少ない電力で快適さを保てます。
冷房・暖房での置き場所と風向きの工夫
サーキュレーターや扇風機は、置き場所と風向きで効果が変わります。冷たい空気は下に、暖かい空気は上にたまる性質を利用して、季節ごとに向きを変えるのがコツです。
季節別の置き場所・風向きのコツ
- 冷房時:エアコンの対角線上や床付近から、天井に向けて風を送り、たまった冷気を部屋全体へ循環させる
- 暖房時:天井にたまった暖かい空気を下ろすイメージで、上向き・天井方向へ風を送る
- 共通:人に当て続けると乾燥や冷えの原因になるため、循環目的なら壁や天井に沿わせる
風の通り道を意識するだけで、同じ設定温度でも快適さが変わります。まずは無理のない範囲で置き場所を調整し、体感が変わるか試してみましょう。とくに広い部屋や間取りが複雑な住まいでは温度ムラができやすいため、循環の効果が大きくなります。エアコンから遠い場所ほど冷気が届きにくいので、風の通り道を意識して設置しましょう。天井が高い部屋では、上下の空気を混ぜるだけでも体感が変わります。
併用で効果を高めるためのコツ

せっかく併用するなら、効果を最大限に引き出したいものです。あわせて実践したい基本のポイントを押さえておきましょう。
フィルター清掃・風量自動と組み合わせる
併用の効果をさらに高めるには、エアコン本体の基本のお手入れと設定の見直しが欠かせません。前述のとおり、フィルターの清掃だけでも年間約990円の省エネが見込めます。2週間に1回程度を目安に掃除すると、冷暖房の効率を保てます。
併用とあわせて実践したい基本のコツ
- フィルターは2週間に1回程度清掃し、目詰まりによる効率低下を防ぐ
- 風量は「自動」に設定し、立ち上がりに一気に効かせて無駄な運転を減らす
- こまめなオンオフより、つけっぱなしのほうが効率的な場合もあるため、短時間の外出では切らない
- 室外機の周りに物を置かず、風通しをよくして放熱を妨げない
こうした基本のコツと扇風機・サーキュレーターの併用を組み合わせることで、無理なく電気代を抑えられます。節約は一つひとつの効果は小さくても、積み重ねると年間では大きな差になります。できることから一つずつ取り入れて、無理なく続けられる形を見つけましょう。毎日の小さな工夫が、夏や冬の電気代のピークをやわらげてくれます。
扇風機・エアコンの併用に関するよくある質問
最後に、併用についてよく寄せられる疑問をまとめました。
Q. 扇風機とサーキュレーターはどちらを買えばいいですか?
A. 目的によって異なります。人に風を当てて涼みたいなら扇風機、部屋の温度ムラをなくしてエアコンの効率を上げたいならサーキュレーターが向いています。エアコンとの併用で節約を重視するなら、空気を循環させる力が強いサーキュレーターがおすすめです。一方、扇風機でも体感温度を下げる効果はあるため、すでに手元にあるものから試してみてもよいでしょう。両方を使い分けると、より快適に過ごせます。予算や置き場所も考えて選ぶとよいでしょう。
Q. エアコンと扇風機を併用すると電気代はどれくらい変わりますか?
A. 設定温度を無理なく上げられる分が節約になります。資源エネルギー庁の試算では、冷房の設定温度を1℃上げると年間約30kWh(約940円)の省エネになります。扇風機・サーキュレーターの併用で快適さを保ちながら設定温度を控えめにできれば、この分の節約が期待できます。扇風機類の電気代は小さいため、差し引きでも節約になりやすいのが特徴です。実際の効果はお部屋の広さや使用時間によって変わります。まずは設定温度を1℃見直すことから始めましょう。
Q. サーキュレーターはつけっぱなしでも大丈夫ですか?
A. 消費電力が小さいため負担は大きくありません。サーキュレーターの消費電力はエアコンに比べてずっと小さく、長時間使っても電気代への影響は限定的です。むしろ空気を循環させ続けることで、エアコンの効率を保ちやすくなります。ただし、外出時など人がいないときは止めておくと無駄がありません。就寝時はタイマーや首振り機能を使い、体に風が当たり続けないようにすると快適です。電気代よりも、循環による快適さと効率アップのメリットが上回りやすいといえます。
Q. 冬の暖房でも併用する効果はありますか?
A. あります。暖かい空気は天井付近にたまりやすいため、サーキュレーターで循環させると足元まで暖かさが行き渡り、暖房の設定温度を上げすぎずに済みます。資源エネルギー庁の試算では、暖房の設定温度を1℃下げると年間約53kWh(約1,650円)の省エネになります。冬は上向き・天井方向へ風を送り、たまった暖気を部屋全体に行き渡らせるのがコツです。夏と冬で風向きを変えて使い分けましょう。冬も空気の循環は暖房の効率アップに役立ちます。
まとめ|併用で設定温度を控えめにして電気代を抑えよう
扇風機・サーキュレーターとエアコンの併用は、少ない電気で空気を循環させ、エアコンの設定温度を無理なく控えめにすることで電気代の節約につながります。扇風機類の消費電力は小さいため、差し引きでも節約になりやすいのがポイントです。
この記事のポイント
- 空気を循環させると温度ムラが減り、設定温度を控えめにしても快適に過ごせる
- 冷房の設定温度を1℃上げると年間約30kWh(約940円)の省エネ(資源エネルギー庁試算)
- 扇風機は「人に風」、サーキュレーターは「空気の循環」と役割を使い分ける
- フィルター清掃・風量自動など基本のコツと組み合わせると効果が高まる
家電の使い方の工夫に加えて、電気料金プランそのものを見直せば、節約効果をさらに高められます。ご自身の使用量に合うプランは、シミュレーションで確認してみてください。
この記事を監修した人
家計・節約アドバイザー
(FP2級)
ファイナンシャルプランナーとして累計3,000世帯以上の家計相談を担当。光熱費の見直しが最も即効性の高い節約手段であることを実感し、電気代の最適化に特化したアドバイスを行っています。2児の母としての実体験を交えた情報発信が強み。当サイトでは節約術・家電別電気代の記事を担当。プロフィール詳細はこちら
家計・節約アドバイザー
山田 美咲
併用の効果を実感するコツは、「設定温度を下げる」のではなく「体感温度を下げる」と考えることです。空気を循環させて風を上手に使えば、設定温度を1℃控えめにしても快適に過ごせます。扇風機やサーキュレーターの電気代はわずかなので、差し引きでもしっかり節約になります。まずはフィルター清掃とあわせて、無理のない範囲から始めてみましょう。