電気のトラブル解決
電気の名義変更のやり方 / 結婚・相続・同居人の変更で必要な手続き
結婚して姓が変わった、実家の電気を自分の名義に引き継ぐことになった。そんなとき、電気の契約は「名義変更」という手続きで契約者だけを書き換えられます。
ただし、名義変更で対応できるのは住所が変わらないケースだけです。引っ越しを伴う場合は、まったく別の手続きになります。
この記事では、名義変更が使えるケースと使えないケース、用意しておく情報、電話とWebの使い分け、そして契約者が亡くなったときの進め方までを整理します。
目次
電気の名義変更とは?どんなときに必要な手続きか

名義変更は、電気を使う場所はそのままに、契約者の名前だけを変更する手続きです。まずは、この手続きがカバーする範囲を押さえておきましょう。
住所はそのまま、契約者だけが変わる手続き
電気の契約は「誰が」「どの場所で」電気を使うかをセットで管理しています。名義変更は、このうち「誰が」の部分だけを書き換える手続きです。
電気を使う場所は、住所とは別に「供給地点特定番号」という22桁の番号で管理されています。名義変更では、この番号は変わりません。
つまり、同じ部屋・同じ建物で電気を使い続けたまま、請求先と契約責任者だけが入れ替わる、というイメージです。
そのため、名義変更では電気が止まることはありません。ブレーカーを落とす必要も、立ち会いも、スマートメーターの交換も不要です。契約しているプランや契約アンペア、料金単価もそのまま引き継がれます。
手続き自体も比較的簡単で、電話なら5〜10分程度で完了するのが一般的です。書類の郵送が必要になるケースはそれほど多くありません。
なお、名義変更は「契約の中身を変える」手続きではないため、これを機にプランを見直したい場合は、名義変更とは別に電力会社の切り替え手続きを検討することになります。
名義変更が必要になる主なケース
名義変更が必要になるのは、住所が変わらないまま契約者が変わる、あるいは契約者の氏名の表記が変わる場面です。代表的なのは次のようなケースです。
| ケース | 手続きの内容 |
|---|---|
| 結婚・離婚で姓が変わった | 契約者は同じ人。氏名表記の変更 |
| 親から子へ契約を引き継ぐ | 契約者が交代する名義変更 |
| 契約者が亡くなり同居家族が住み続ける | 相続に伴う名義変更 |
| 同居人・ルームシェアの代表者が入れ替わる | 契約者が交代する名義変更 |
| 登録名の誤字・旧字体を直したい | 氏名表記の訂正 |
| 個人名義から法人名義に切り替える | 会社により可否が分かれる |
このうち、結婚・離婚による改姓と誤字訂正は「契約者本人は変わらない」ケースで、Webから手続きできる会社が比較的多い区分です。
一方、親子間の引き継ぎや相続のように契約者そのものが入れ替わるケースは、本人確認が必要なため電話受付のみとしている会社が中心になります。
どちらに当てはまるかで窓口が変わるため、手続きの前に「自分は名前の表記を直したいのか、契約者を交代させたいのか」を整理しておくと迷いません。
名義変更でできないこと|引っ越しは別の手続きになる

名義変更でつまずきやすいのが「引っ越しと混同してしまう」パターンです。ここを間違えると、入居日に電気が使えないという事態にもつながります。
引っ越しを伴う場合は解約と新規契約が必要
新しい家に移る場合は、契約者が同じでも名義変更では対応できません。旧住所の使用停止(解約)と、新住所での使用開始(新規契約)という2つの手続きが必要になります。
理由は、電気の契約が住所ではなく供給地点ごとに結ばれているためです。場所が変われば契約そのものが別物になります。
この違いを軽く見ていると困るのが、入居初日です。かつては分電盤のブレーカーを上げれば電気が使えることもありました。
しかしスマートメーターが普及した現在は、電力会社側で開通操作をしないと通電しない物件が増えています。「引っ越すだけだから名義変更でいい」と考えて申し込みを忘れると、当日部屋が真っ暗、ということが起こり得ます。
引っ越しの場合は、遅くとも入居の1週間前までに新居側の使用開始手続きを済ませておくと安心です。具体的な段取りは引っ越し時の電気の手続きで詳しく解説しています。
なお、同じマンション内での部屋の移動も「別の供給地点への移動」です。名義変更ではなく、解約と新規契約の扱いになります。
名義変更に対応していない電力会社もある
もう一つ注意したいのが、すべての電力会社が名義変更を受け付けているわけではないという点です。
電力自由化で参入した新電力のなかには、運営体制をシンプルにするために名義変更の窓口を設けていない会社があります。この場合、現契約者が解約し、新しい契約者が改めて申し込む流れになります。
解約と新規契約でつなぐ場合に確認しておきたいのが、次の3点です。
解約+新規契約になるときの確認事項
- 契約期間の縛りがあるプランか(定期契約の途中解約は解約金が発生する場合がある)
- 解約日と新規契約日が空かないように日程を合わせられるか
- キャンペーン特典や割引が新契約に引き継がれるか
特に気をつけたいのが1つ目です。定期契約型のプランでは、名義を変えるためだけに解約したことで違約金がかかってしまう、という事態も起こり得ます。
また、契約者が変わることでガスとのセット割やポイント付与の条件がリセットされるケースもあります。手続き前に、契約先のマイページか電話窓口で扱いを確認しておきましょう。
電気の名義変更に必要なものと手続きの流れ

ここからは実際の進め方です。名義変更は書類を集めるような手続きではなく、事前に情報をそろえておけば電話1本で終わることがほとんどです。何を聞かれるのか、どの窓口にかければよいのか、いつ請求書に反映されるのかを順に見ていきます。
手続き前に用意しておく情報
名義変更で最初に聞かれるのが「お客さま番号」です。これは契約を特定するための番号で、検針票(電気ご使用量のお知らせ)や請求書、Web会員ページで確認できます。
紙の検針票が届かない契約の場合は、電力会社のマイページにログインすれば表示されます。番号がどうしても分からないときは、住所と現契約者の氏名を伝えれば照会してもらえることが多いので、手続きを諦める必要はありません。
そのうえで、次の情報をメモしておくとスムーズです。
名義変更で聞かれること
- お客さま番号(検針票・請求書・マイページに記載)
- 電気を使用している住所
- 現在の契約者の氏名
- 新しい契約者の氏名・生年月日・連絡先
- 新しい支払い方法(口座振替・クレジットカード・払込票)
- 変更したい日付(相続の場合は亡くなった日)
戸籍謄本や住民票といった書類は、多くの場合で不要です。電話口での確認だけで手続きが進みます。
ただし相続のケースでは、会社によって戸籍謄本の提出を求められることがあります。念のため、手元にあるかどうかだけ確認しておくと安心です。
電話とWebの使い分けと反映されるタイミング
手続き窓口は、変更の内容によって分かれます。おおまかな傾向は次のとおりです。
| 変更の内容 | 主な受付方法 |
|---|---|
| 改姓・誤字訂正(契約者本人は同じ) | Web・チャット・電話 |
| 家族へ契約を引き継ぐ | 電話 |
| 相続・契約者の死亡 | 電話 |
大手電力会社では、同じ会社でも規制料金プラン(従量電灯など)と自由料金プランで電話番号が別に用意されていることがあります。かけ間違えると転送や折り返しになるため、検針票やマイページでプラン名を確認してから電話しましょう。
受付時間は平日9時〜17時前後としている会社が多く、日曜・祝日は休みというケースが目立ちます。
反映のタイミングにも段階があります。社内のデータ上は当日〜翌営業日で新しい契約者に切り替わりますが、請求書や利用明細の宛名に反映されるのは次の検針日以降です。
新しい名義の請求書が実際に届くのは、受付から翌月〜翌々月になるのが一般的です。すぐに宛名が変わらなくても、手続きが失敗したわけではありません。
ケース別の進め方|結婚・離婚・同居人の変更

同じ名義変更でも、状況によって気をつけるポイントは変わります。改姓のように書き換えるだけで済むケースと、契約者そのものが入れ替わるケースでは、窓口も進め方も別物です。相談の多い2つの場面を取り上げます。
結婚や離婚で姓が変わったとき
改姓は、契約者本人が変わらないため名義変更のなかでもっとも手続きが簡単な区分です。Webフォームやチャットで完結できる会社も多く、電話がつながらなくても進められます。
忘れやすいのが、電気とあわせて登録している支払い情報です。クレジットカードや銀行口座も旧姓のままだと、カード会社や銀行側で姓を変えたタイミングで引き落としがエラーになることがあります。
電気の名義だけ直して支払い情報を放置すると、払込票が届いて初めて気づく、という流れになりがちです。電気の改姓手続きと同時に、登録している口座・カードの名義も確認しておきましょう。
離婚で契約者が入れ替わる場合は、改姓ではなく「契約者の交代」にあたります。こちらは電話での手続きになるのが一般的です。
この際、旧契約者の同意が取れるうちに済ませておくのが実務上のポイントです。連絡が取りづらくなってからだと、解約と新規契約で対応せざるを得ないこともあります。
同居人やルームシェアで契約者を変えるとき
ルームシェアや同棲で、契約していた人が先に退去するケースもあります。この場合、残る人の名義に変更しておかないと、退去した人に請求が届き続けることになります。
退去者が契約を解約してしまうと電気が止まってしまうため、順序が大切です。解約ではなく名義変更として手続きすれば、通電したまま契約者だけを入れ替えられます。
進めるときは、次の流れを意識しておくと行き違いが起きません。
- ①現契約者と新契約者で、切り替える日と支払い方法を決めておく
- ②現契約者から電力会社に名義変更を申し出る(本人確認のため)
- ③新契約者の氏名・連絡先・支払い方法を登録する
- ④次の検針票または請求書で、宛名が変わっているか確認する
手続きを申し出るのは、原則として現在の契約者本人です。新しく契約者になる側から一方的に電話しても、本人確認が取れず受け付けてもらえないことがあります。
また、賃貸物件で管理会社が一括して電気を供給している場合は、電力会社ではなく管理会社側の手続きになります。契約書を確認しておきましょう。
契約者が亡くなったときの名義変更と解約の判断

相続にからむ手続きは、名義変更のなかでもっとも判断に迷いやすい場面です。分かれ道は「その家に住み続ける人がいるかどうか」の一点で、ここが決まれば名義変更か解約かは自然に決まります。支払い方法の扱いとあわせて整理します。
同居家族が住み続けるなら名義変更
契約者が亡くなり、同居していた家族がそのまま住み続ける場合は解約ではなく名義変更で対応します。電気を止める必要はありません。
手続きは電話が基本です。電力会社名、お客さま番号、亡くなった方の氏名と死亡日、新しい契約者の氏名・連絡先、支払い方法を伝えれば進みます。
前述のとおり、死亡診断書や戸籍謄本の提出を求められないケースがほとんどです。相続手続き全体のなかでは、比較的負担の軽い部類といえます。
期限が法律で決まっているわけではありませんが、葬儀後から四十九日あたりまでを目安に済ませておくと、後述する口座の問題を避けやすくなります。
なお、名義変更をしても過去の未払い分が消えるわけではありません。未精算の料金があれば、新しい契約者または相続人が支払うことになります。手続きの際に残高を確認しておきましょう。
契約プランやアンペア数は、そのまま新しい契約者に引き継がれます。世帯人数が減って電気の使い方が変わるようであれば、落ち着いてから契約アンペアの見直しを検討するとよいでしょう。
電力会社に連絡する順番としては、相続の届け出そのものより先に、電気・ガス・水道といった生活インフラを整えておくほうがスムーズです。生活が続く家であれば、止めずに引き継ぐのが基本の考え方になります。
誰も住まない場合は解約、ただし焦らなくてよい
一人暮らしだった方が亡くなった場合や、家族が別居していて誰も住まなくなる場合は、最終的に解約することになります。
ただし、すぐに解約するのが正解とは限りません。電気を止めてしまうと、遺品整理の作業が照明なしになり、夏場や冬場は空調も使えません。
不動産の売却や賃貸への切り替えを考えている場合も、内見や清掃で電気が必要になります。こうした事情から、実務上は次のように判断されることが多くなっています。
| 状況 | 取るべき手続き |
|---|---|
| 同居家族が住み続ける | 名義変更 |
| 相続人が引き継いで住む予定がある | 名義変更して契約を維持 |
| 遺品整理・売却の作業が残っている | いったん名義変更し、片付け後に解約 |
| 片付けが済み、誰も使わない | 解約 |
つまり「名義変更か解約か」の二択ではなく、いったん名義変更して使える状態を保ち、片付いた段階で解約するという進め方も選べます。
電気を使わない期間も基本料金はかかりますが、一般的な契約アンペアであれば月に1,000円前後です。作業のたびに通電を手配する手間や、真夏・真冬に空調が使えない負担と比べて判断するとよいでしょう。
どうしても長期間放置することが決まっている場合は、解約したうえで、必要になった時点で改めて契約を申し込む方法もあります。ただしスマートメーターの物件では開通操作に日数がかかることがあるため、内見の予定などがあるなら早めの手配が必要です。
口座凍結で引き落としが止まる点に注意
相続のケースで見落とされやすいのが、支払い方法です。金融機関が契約者の死亡を把握すると口座は凍結され、電気料金の引き落としもその時点で止まります。
引き落としができなくなると、電力会社からコンビニ払い用の払込票が郵送されてきます。この郵便物を見落としたまま放置すると、支払いが滞った状態になります。
電気は、支払いが数か月滞ると供給を止められる可能性があるサービスです。誰も住んでいない家であっても、料金の未納は相続人に残ります。
これを避けるには、名義変更と同時に支払い方法を新しい契約者の口座やクレジットカードに切り替えるのが確実です。
すでに口座が凍結されている場合でも、払込票での支払いに切り替えたうえで、後から口座振替を登録し直せます。まずは電力会社に状況を伝え、請求の届け先を生きている連絡先に変えておきましょう。
※記載の手続き方法・受付時間は2026年9月時点の一般的な運用です。詳細は契約先の電力会社の案内をご確認ください。
Frequently Asked Questions
Q. 電気の名義変更に費用はかかりますか?
A. 名義変更そのものに手数料はかからないのが一般的です。契約を新しく結び直すわけではないため、契約事務手数料や工事費も発生しません。
ただし、名義変更を受け付けていない電力会社で「解約+新規契約」の形を取る場合は事情が変わります。定期契約型のプランを途中で解約すると、解約金や違約金が請求される可能性があります。
また、解約と新規契約でつなぐと、キャンペーンで受け取った特典の返還を求められることもあります。手続き前に契約内容を確認しておきましょう。
Q. 名義変更をすると電気は止まりますか?
A. 止まりません。名義変更は契約者名を書き換えるだけの手続きで、電気の供給そのものには影響しません。立ち会いも、メーターの工事も不要です。
停電を伴うのは、解約して一度供給を止めるケースです。名義変更で対応できる場面であれば、生活に影響が出ることはないと考えて問題ありません。
契約しているプランや契約アンペア、料金の計算方法もそのまま引き継がれます。名義変更を理由に単価が変わったり、契約を結び直したりすることはありません。
Q. 新しく契約者になる人から手続きできますか?
A. 原則として、現在の契約者本人から申し出る必要があります。本人確認が取れないと受け付けてもらえないためです。
契約者が亡くなっている場合は例外で、同居家族や相続人から手続きできます。離婚や同居解消などで現契約者と連絡が取りづらいときは、解約と新規契約で対応するしかないこともあります。
同居しているご家族が代理で電話する場合も、契約者本人が同席して意思確認に応じられる状態であれば受け付けてもらえることが多くなっています。連絡が取れるうちに済ませておきましょう。
Q. 名義変更のタイミングでプランも見直せますか?
A. 見直せます。名義変更は契約者を変える手続きなので、プランや契約アンペアの変更は別の手続きとして申し込む形になります。同じ電話で両方を依頼できる会社もあります。
電力会社そのものを変えたい場合も、名義変更を済ませてから切り替えるか、新しい契約者の名義で新規に申し込むかを選べます。
世帯構成が変わると電気の使用量も変わります。人数が増えた、在宅時間が長くなったといった変化があれば、契約内容を見直す機会にもなります。
Q. 引っ越し先で同じ電力会社を使うなら名義変更でいいですか?
A. いいえ。同じ電力会社を使い続ける場合でも、住所が変わるなら使用停止と使用開始の手続きが必要です。電気の契約は場所ごとに結ばれているためです。
会社によっては、旧居の使用停止と新居の使用開始を1回の電話やWeb申し込みでまとめて受け付けてくれます。手続きの回数は減らせますが、「名義変更」ではなく「引っ越し」として申し出る点は変わりません。
なお、引っ越しを機に契約者を変える場合も同様です。新居側で新しい契約者の名義で申し込めば、名義変更の手続きは不要になります。
まとめ|住所が変わらなければ名義変更で引き継げる
電気の名義変更は、住所を変えずに契約者だけを入れ替える手続きです。結婚や相続、同居人の変更といった場面で使え、電気が止まることはありません。
迷いやすいのは引っ越しとの区別と、契約者が亡くなったときの判断です。この2点さえ押さえておけば、手続き自体は電話1本で終わります。
この記事のポイント
- 名義変更は住所そのままで契約者だけを変える手続き。電気は止まらない
- 引っ越しを伴う場合は名義変更ではなく、解約と新規契約が必要
- 改姓や誤字訂正はWeb対応の会社が多く、契約者の交代は電話受付が中心
- 用意するのはお客さま番号・新契約者の情報・新しい支払い方法
- 名義変更に対応していない電力会社もあり、その場合は解約+新規契約になる
- 契約者が亡くなった場合、同居家族が住み続けるなら名義変更で引き継げる
- 口座凍結で引き落としが止まるため、支払い方法もあわせて切り替える
世帯の人数や暮らし方が変わると、電気の使い方も変わります。名義を切り替えるタイミングで、契約プランが今の生活に合っているかも確認してみてください。
この記事を監修した人
電力自由化研究家
(元・大手電力会社社員)
大手電力会社に12年間勤務し、料金プラン設計・法人営業を担当した業界経験者。電力会社の「中の人」だった視点から、公式サイトには書かれていない注意点や料金表示のカラクリを発信しています。自身も退職後に3社の電力会社を切り替えた実体験あり。当サイトでは全記事の監修および乗り換え関連記事を担当。プロフィール詳細はこちら
電力自由化研究家
Shota Suzuki
名義変更を「急ぎの手続き」と思わなくて大丈夫です。電気が止まるわけでも、遡って料金が変わるわけでもありません。ただし、支払い方法を旧契約者の口座のままにしていると、口座が使えなくなった時点で引き落としが止まります。名義と支払い方法はセットで切り替えておくのが確実です。