季節別の電気代対策
電気代は10月から値上げ?補助終了と託送料金改定でいくら上がる
「10月から電気代が上がる」という話を耳にして、どのくらい負担が増えるのか気になっていませんか。今年の秋は、値上がりの要因が重なります。
結論から言うと、実際に請求額が跳ね上がるのは11月に届く検針票からです。理由は2つあり、電気・ガス料金支援の終了と、11月1日の託送料金改定が続けてやってきます。
この記事では、いつ・何が・いくら上がるのかを順に整理し、今から備えられることまでまとめます。
※本記事は2026年9月時点の公表情報にもとづく解説です。値上がり額は使用量・契約エリア・料金プランにより異なります。託送料金の影響額は試算値で、小売電気事業者の反映方法により実際の請求額は変わります。
2026年10月の電気代はどうなるのか

「10月から値上げ」と言われますが、請求に反映される時期は要因ごとに違います。混乱しやすいところなので、まず時系列を整理しておきましょう。
値上がりは「10月の請求」と「11月の請求」の2段階
まず押さえたいのが、電気代は「使用した月」と「請求される月」がずれるという点です。9月に使った電気は10月に検針され、その分が10月または11月に請求されます。ここを混同すると、いつ上がるのかが分からなくなります。
今年の場合、10月の検針分(9月使用分)までは補助が効いています。この時点でも燃料費調整額の上昇により大手各社の料金は前月より上がっていますが、まだ値引きが残っている状態です。
本番は次です。11月に届く検針票(10月使用分)から補助がゼロになります。さらに11月1日には託送料金の改定も重なるため、負担増を実感するのはこのタイミングです。
値上がりのスケジュール
- 10月検針分(9月使用分):補助あり。燃調上昇で微増
- 11月検針分(10月使用分):補助がゼロに
- 2026年11月1日:託送料金が改定
- 負担増を実感するのは11月の請求から
つまり「10月から値上げ」は正確には「10月使用分から」であり、財布に響くのは11月です。心の準備をするなら今のうち、ということになります。
理由①|電気・ガス料金支援が9月使用分で終了

1つめの要因は補助金の終了です。これまで申請不要で自動的に値引きされていた分がなくなるため、そのまま負担増として跳ね返ってきます。
3.5円/kWhの値引きがなくなる
2026年夏に再開された電気・ガス料金支援は、9月使用分をもって終了しました。9月使用分の補助額は電気(低圧)が3.5円/kWh、都市ガスが14.0円/㎥です。申請不要で自動的に値引きされていました。
この値引きが10月使用分からなくなります。使用量が多い世帯ほど影響は大きく、4人以上の世帯では電気とガスを合わせて月2,450円ほどの負担増になるという試算があります。
| 世帯 | 電気代の増加 | ガス代の増加 | 合計 |
|---|---|---|---|
| 一人暮らし | 約630円 | 約210円 | 約840円 |
| 2〜3人世帯 | 約1,225円 | 約420円 | 約1,645円 |
| 4人以上世帯 | 約1,750円 | 約700円 | 約2,450円 |
注意したいのは、これは値上げではなく「値引きがなくなる」という点です。料金そのものが上がったわけではありませんが、支払う金額が増えるという意味では同じです。
また、この試算は電気とガスを合算したものです。オール電化のようにガスを使わない世帯では、その分すべてが電気代に集中します。使用量が多いほど影響が大きくなる点は共通です。
10月使用分以降の支援継続について、2026年9月時点で正式な発表はありません。補助制度の経緯は電気代の政府補助金で詳しく解説しています。
理由②|11月1日から託送料金が上がる

2つめの要因が託送料金の改定です。こちらは補助金と違って一時的なものではなく、料金の土台そのものが上がることになります。
全9エリアで値上げ。東京は1kWhあたり1.07円
託送料金とは、発電所から家庭まで電気を届ける送配電網の利用料です。電気料金に含まれており、どの電力会社と契約していても同じようにかかります。これが2026年11月1日に改定されます。
今回の改定では、対象となる9エリアすべてで値上げとなります。低圧(家庭向け)の変更幅はエリアによって差があり、東京の1.07円/kWhに対し、沖縄は1.99円/kWhと2倍近い開きがあります。
| エリア | 変更幅 | エリア | 変更幅 |
|---|---|---|---|
| 北海道 | +1.89円/kWh | 関西 | +1.22円/kWh |
| 東北 | +1.78円/kWh | 中国 | +1.12円/kWh |
| 東京 | +1.07円/kWh | 四国 | +1.52円/kWh |
| 中部 | +1.63円/kWh | 九州 | +1.55円/kWh |
| 沖縄 | +1.99円/kWh | ― | ― |
月230kWhを使う家庭で試算すると、東京で月246円、沖縄で月458円ほどの増加になります。年間では約2,953円から5,492円の幅です。使用量が増える冬は、この上乗せがさらに効いてきます。
エリアによって幅があるのは、送配電網の設備規模や地理的な条件が異なるためです。離島を多く抱える沖縄や、広い面積に設備を維持する北海道は、1kWhあたりの負担が重くなります。
ただしこれは一次試算です。託送料金をどう料金に反映するかは電力会社ごとに判断されるため、実際の請求額は契約先により変わります。契約している会社からのお知らせを確認してください。
そのほかの要因|燃料費調整額と再エネ賦課金

補助終了と託送料金のほかにも、電気代を押し上げる要素があります。毎月の明細に載っている2つの項目を確認しておきましょう。
毎月変わる燃調と、年度で決まる賦課金
まず燃料費調整額は、発電に使う燃料の価格変動を毎月の電気代に反映する仕組みです。燃料価格が上がれば電気代も上がります。2026年10月検針分では、この燃調の上昇により大手各社が前月より値上がりしました。
もうひとつが再生可能エネルギー発電促進賦課金(再エネ賦課金)です。2026年度は4.18円/kWhで、年度内は変わりません。契約先にかかわらず全国一律でかかります。
電気代を動かす4つの要素
- 補助金:9月使用分で終了(値引きがなくなる)
- 託送料金:11月1日改定(全9エリアで上昇)
- 燃料費調整額:毎月変動(燃料価格しだい)
- 再エネ賦課金:2026年度は4.18円/kWh
燃調は燃料価格が下がれば低下することもありますが、賦課金は年度単位で決まるため途中では動きません。毎月の明細を見るときは、この2つの項目を分けて確認すると変動の理由がつかめます。
このうち託送料金と再エネ賦課金は、電力会社を変えても同じようにかかります。一方で基本料金や電力量料金は会社・プランによって差があるため、見直しの余地があるのはこちらです。仕組みは燃料費調整額とはと再エネ賦課金とはで解説しています。
値上げに備えて今からできること

制度で決まる部分は自分では変えられません。だからこそ、変えられる部分に先回りして手を打っておくことが大切になります。順番に見ていきましょう。
使用量の把握と契約プランの見直し
まず取り組みたいのが自分の使用量を知ることです。毎月何kWh使っているかが分かれば、補助終了や託送料金の改定で自分がいくら増えるのかを具体的に計算できます。検針票やWeb明細で確認しましょう。
使用量が分かったら、契約プランが今の暮らしに合っているかを確認します。単価が上がる局面では、もともとの単価差がそのまま金額差として効いてきます。同じ使い方でも、会社やプランを変えることで負担を抑えられる場合があります。
値上げ前にやっておきたいこと
- 検針票で毎月の使用量(kWh)を確認する
- 契約プラン・契約アンペアが適正か見直す
- 冬の暖房の使い方を点検しておく
- 契約先からの料金改定のお知らせを確認する
あわせて、冬は使用量そのものが増える時期です。単価が上がったところに使用量が乗るため、暖房の使い方を見直しておくと二重に効きます。設定温度やフィルター清掃といった基本の積み重ねが、この冬は例年以上に効いてきます。
乗り換えを検討する場合の流れは電力会社の切り替え方法をご覧ください。今の使い方でどのくらい変わるかは、シミュレーションで確認できます。
よくある質問
Q. 結局、電気代はいつから上がるのですか?
A. 補助金の終了による値上がりが反映されるのは、11月に届く検針票(10月使用分)からです。10月の検針分までは補助が効いているため、値引きが残っています。
これに加えて11月1日から託送料金が改定されるため、11月以降の請求で2つの要因が重なります。「10月から値上げ」という表現は、正確には「10月使用分から」という意味です。実際に支払う金額が増えるのは、その翌月からになります。検針日は契約先や地域によって差があるため、正確な時期はお手元の検針票でご確認ください。
Q. 電力会社を変えれば託送料金は安くなりますか?
A. なりません。託送料金は送配電網の利用料で、どの電力会社と契約していても同じようにかかります。再エネ賦課金も同様で、全国一律です。
見直しで差が出るのは、基本料金と電力量料金の部分です。ここは会社やプランによって設定が異なるため、使い方に合ったプランを選べば負担を抑えられる可能性があります。制度で決まる部分と、選べる部分を分けて考えるのがポイントです。明細を開いて、どの項目がいくらを占めているかを見るところから始めてみてください。
Q. 補助金はまた再開されないのでしょうか?
A. 2026年9月時点で、10月使用分以降の電気・ガス料金支援について正式な発表はありません。これまでも補助は期間を区切って実施と終了を繰り返してきたため、今後の再開を断定することも否定することもできない状況です。
確実なのは、現時点で10月使用分からの値引きがないことです。再開を待つよりも、使用量の把握と契約の見直しという、自分で動かせる部分から手をつけるほうが現実的でしょう。仮に再開されたとしても、見直しの効果はそのまま残ります。
まとめ|負担増を実感するのは11月の請求から
2026年秋の電気代は、電気・ガス料金支援の終了と11月1日の託送料金改定という2つの要因が重なります。補助は9月使用分で終わり、値引きがゼロになるのは11月に届く検針票からです。
補助終了だけで、一人暮らしで月約840円、4人以上の世帯で月約2,450円(電気・ガス合計)の負担増が見込まれます。そこに託送料金の上昇と冬の使用量増が重なります。制度で決まる部分は変えられないので、使用量の把握と契約プランの見直しから始めましょう。
この記事のポイント
- 補助は9月使用分で終了。値引きゼロは11月の請求から
- 補助額は電気3.5円/kWh・都市ガス14.0円/㎥だった
- 負担増は一人暮らし約840円/4人以上約2,450円
- 11月1日に託送料金が改定。全9エリアで上昇
- 託送料金と再エネ賦課金は会社を変えても同じ
※本記事は2026年9月時点の公表情報にもとづきます。託送料金の変更幅・影響額は一次試算であり、小売電気事業者による反映方法によって実際の請求額は異なります。補助金の再開の有無を含め、最新の情報は資源エネルギー庁および契約先の電力会社の公表内容をご確認ください。
この記事を監修した人
電力アナリスト
佐藤 健一大手エネルギー調査会社で10年間、700社以上の電力会社の料金データを分析。エネルギー管理士の資格を持ち、燃料費調整額や電源調達調整費を含めた「実質請求額」ベースの料金比較を専門としています。当サイトでは電力会社の料金比較・ランキング・口コミ記事のデータ分析を担当。プロフィール詳細はこちら
電力アナリスト
佐藤 健一
今回の値上がりが分かりにくいのは、性質の違う2つが同じ時期に重なっているからです。ひとつは補助金という一時的な値引きが消えること。もうひとつは託送料金という、電気を届けるためのコストそのものが上がること。前者は「元に戻る」、後者は「土台が上がる」で意味が違います。とくに託送料金は送配電網の維持・更新に必要な費用で、一度上がれば当面下がりません。そのうえ冬は使用量が増える時期です。単価が上がったところに使用量が乗るので、請求額は想像以上に膨らみます。11月の検針票を見て驚く前に、今の契約が適正か確認しておくことをおすすめします。