電気代の節約術
太陽光を設置すると電気代はいくら下がる?自家消費率別に試算
「太陽光を付けると電気代はいくら下がるの?」——気になるところですが、削減額は発電量そのものではなく「発電した電気をどれだけ自分で使えるか(自家消費率)」で大きく変わります。同じ発電量でも、自家消費率しだいで年間数万円の差が出ます。
この記事では、4人世帯の標準条件で自家消費率30%・50%・70%の3パターンの年間収支を試算しました。試算の条件と計算式もすべて公開しているので、ご自身の条件に置き換えて計算できます。
※本記事の金額はすべて、下記の標準条件で試算した目安です。発電量・単価・FIT価格は地域や時期で変わります。実際の効果は住宅・設備・使い方で異なるため、参考値としてご覧ください。情報は2026年9月時点。
結論|自家消費率が高いほど負担は小さくなる

まず結論から見ていきましょう。自家消費率が高いほど、年間の実質負担は小さくなります。
設置前14.8万円→自家消費70%で0.4万円に
標準条件で試算すると、太陽光の設置前は年間の電気代(実質負担)が約14.8万円。これに対し、自家消費率70%では約0.4万円まで下がりました。自家消費率が上がるほど、買う電気が減り、負担が小さくなります。
| 自家消費率 | 自家消費量 | 買電量 | 売電量 | 年間電気代 | 売電収入 | 実質負担 | 設置前との差 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 自家消費率30% | 1,650kWh | 2,640kWh | 3,850kWh | 約96,804円 | 約57,750円 | 約39,054円 | 約−10.9万円 |
| 自家消費率50% | 2,750kWh | 1,540kWh | 2,750kWh | 約62,704円 | 約41,250円 | 約21,454円 | 約−12.7万円 |
| 自家消費率70% | 3,850kWh | 440kWh | 1,650kWh | 約28,604円 | 約24,750円 | 約3,854円 | 約−14.4万円 |
| 設置前 | – | 4,290kWh | – | 約147,954円 | – | 約147,954円 | – |
ポイントは、設置前と自家消費率70%で年間約14.4万円もの差が出ることです。同じ5kWの太陽光でも、自家消費率が30%か70%かで年間の削減額は3万円以上変わります。「どれだけ発電するか」以上に「どれだけ自分で使うか」が効いてくることが分かります。次から、その理由と計算方法を見ていきます。
なぜ自家消費率で差が出るのか

自家消費率で結果が変わるのは、買う電気と売る電気の単価が違うからです。ここがこの記事のいちばんの肝になります。
買う電気は31円、売る電気は15円
試算では、買電単価を約31円/kWh、売電単価を約15円/kWhとしています。買う電気のほうが、売る電気より2倍近く高いのです。つまり、発電した1kWhを「自分で使う」と約31円分の節約になり、「売る」と約15円分の収入にしかなりません。
自家消費が得になる理由
- 買う電気=約31円/kWh(燃調・賦課金込みの目安)
- 売る電気=約15円/kWh(2026年度FITの目安)
- 1kWh自分で使う=約31円の節約
- 1kWh売る=約15円の収入(差は約16円)
この1kWhあたり約16円の差が、自家消費のインセンティブです。だから「余ったら売る」より「できるだけ自分で使う」ほうが得になります。かつては売電単価が高く「売ったほうが得」でしたが、FIT価格が下がった今は自家消費が基本という考え方に変わっています。制度開始当初は売電単価が40円を超えた時期もありましたが、年々下がってきました。この単価差を理解しておくことが、太陽光を活かす第一歩です。
試算の条件と計算式

試算の前提を公開します。ご自身の使用量や地域の単価に置き換えれば、同じ式で再計算できます。
標準条件と計算式
本試算は、4人世帯・年間使用量4,290kWh・太陽光5kW・年間発電量5,500kWhを標準条件としています。発電量は1kWあたり1,100kWh(関東の目安)で計算しており、地域や設置条件で変わります。単価は前述のとおり買電31円・売電15円の目安です。
| 項目 | 設定値 |
|---|---|
| 世帯人数 | 4人 |
| 年間使用量 | 4,290kWh(当サイト標準) |
| 太陽光容量 | 5kW |
| 年間発電量 | 5,500kWh(1kWあたり1,100kWh・関東目安) |
| 買電単価 | 約31円/kWh(燃調・賦課金込みの目安)+基本料金(東京40A) |
| 売電単価 | 約15円/kWh(2026年度FIT・10年平均の目安) |
| 蓄電池 | なし |
計算式は次のとおりです。自家消費量=発電量×自家消費率/買電量=年間使用量−自家消費量/売電量=発電量−自家消費量。電気代は基本料金+電力量料金(実効単価)+燃調+賦課金で、当サイトのシミュレーターと同じ考え方です。2026年度のFIT(住宅用10kW未満)は前半4年が24円、後半6年が8.3円で、10年平均は約14.58円/kWh(税込)。本試算ではこれを丸めて15円としています。実際の売電単価は契約年により固定される点にご注意ください。
自家消費率を上げる方法

削減額は自家消費率で決まる——では、その自家消費率はどうすれば上げられるのでしょうか。
日中に家電を使う・在宅パターンを合わせる
いちばんの基本は、太陽光が発電している日中に、電気を多く使うことです。太陽光は昼に発電するため、洗濯・食洗機・掃除などを日中にまとめるだけでも自家消費率は上がります。タイマー機能を使えば、不在時でも昼間に運転できます。
自家消費率を上げるコツ
- 洗濯・食洗機を日中に動かす(タイマー活用)
- エコキュートの昼間沸き上げに切り替える
- 在宅日は昼に家事・調理を寄せる
- 蓄電池で昼の余剰を夜に回す(費用対効果は要検討)
オール電化なら、エコキュートを夜間ではなく昼間に沸き上げる設定にするのも効果的です。夜間電力ではなく、自家発電した昼の電気でお湯を沸かせば、そのぶん自家消費率が上がります。共働きなどで日中の在宅が少ない世帯は自家消費率が上がりにくいので、家電のタイマー活用がとくに有効です。逆に、在宅時間が長い世帯や日中に家事を行う世帯は、もともと自家消費率が高くなりやすく、太陽光の効果を得やすい傾向があります。生活パターンに合わせて工夫してみましょう。
蓄電池を入れると自家消費率はどう変わるか

自家消費率をさらに上げたいなら、蓄電池という選択肢もあります。仕組みと注意点を押さえておきましょう。
一般に30%前後→60〜70%程度に上がる(目安)
蓄電池を導入すると、昼に余った電気をためて夜に使えるようになります。これにより、蓄電池なしでは30%前後にとどまりがちな自家消費率が、一般に60〜70%程度まで上がるとされます(あくまで目安で、容量や使い方で変わります)。夜間の買電が減るぶん、電気代の削減効果は大きくなります。
ただし、蓄電池には別途まとまった設置費用がかかります。削減額が増える一方で初期費用も増えるため、費用対効果は本記事の試算範囲外として、別途検討が必要です。「自家消費率が上がる=必ず得」ではなく、設置費用を何年で回収できるかを含めて判断しましょう。導入を検討する際は、複数社の見積もりを比べることをおすすめします。
蓄電池を検討するときの注意点
- 自家消費率は一般に30%前後→60〜70%程度に上がる(目安)
- 夜間の買電が減り削減効果は大きくなる
- 一方でまとまった初期費用がかかる
- 判断は回収年数を含めた費用対効果で
近年は太陽光と蓄電池をセットで導入するケースも増えていますが、蓄電池の価格や寿命は製品によって幅があります。停電時に使えるという安心の価値もあるため、金額だけでは測れない面もあります。目的が「電気代削減」なのか「非常時の備え」なのかを整理してから検討すると、判断がぶれません。
まとめ|太陽光は「売る」より「使う」が得
太陽光の電気代削減効果は、発電量よりも自家消費率で決まります。標準条件の試算では、自家消費率30%で年間約10.9万円、70%で約14.4万円の削減となりました。買う電気(約31円)と売る電気(約15円)の単価差があるため、発電した電気は売るより自分で使うほうが得です。
自家消費率は、日中に家電を使う・エコキュートを昼に沸かすといった工夫で上げられます。ただし本記事の金額はあくまで目安で、実際の効果は地域・設備・使い方で変わります。ご自身の使用量での目安は、シミュレーションで確認できます。再エネ賦課金の負担については再エネ賦課金の推移もあわせてご覧ください。
この記事のポイント
- 削減額は発電量より自家消費率で決まる
- 自家消費率30%で約10.9万円/70%で約14.4万円の年間削減(目安)
- 買電約31円>売電約15円の単価差が理由
- 自家消費率は日中の家電利用で上げられる
- 金額は目安。地域・設備・使い方で変動する
※本記事の金額は当サイト標準条件での試算目安です。発電量は地域差があり、単価・FIT価格は時期により変わります。売電単価は契約年に固定されます。実際の効果は個別条件で異なります。情報は2026年9月時点(FIT価格の出典:経済産業省)。図表の引用は出典明記のうえ自由です。
この記事を監修した人
省エネ住宅
コンサルタント
監住宅設備メーカーで省エネ住宅の企画・設計に8年間携わり、独立後は300件以上の住宅の省エネ診断を実施。一級建築士・省エネ建築診断士の資格を持ち、住宅の特性と電力プランを掛け合わせた提案を得意としています。当サイトでは省エネ・世帯別・エリア別おすすめ記事を担当。プロフィール詳細はこちら
エコ・省エネコンサル
高橋 あゆみ
太陽光の「年間◯万円お得」は、自家消費率の前提でまるで変わります。同じ5kWでも、昼に電気を使えているかどうかで削減額は3万円以上動きます。ここを見ずに発電量だけで語ると、実際と食い違いが出ます。今のFIT価格では、売電より自家消費が基本。日中に洗濯や食洗機、オール電化ならエコキュートの昼沸きを寄せるだけで効果が上がります。蓄電池はさらに自家消費率を高めますが、費用対効果は別問題。設置費用の回収年数まで含めて考えてください。まずは自分の使用量で目安を出すところから始めるとよいでしょう。