電気のトラブル解決
電力会社が倒産したら電気は止まる?停電しない仕組みと対処法を解説
「契約している新電力が倒産したら電気は止まる?」と心配になったことはありませんか?
2021〜2022年の燃料価格高騰の時期には、複数の新電力会社が事業撤退・倒産する事態が発生し、利用者の関心が高まりました。結論から言うと、電力会社が倒産しても電気はすぐに止まりません。電気を「売る会社」と「届ける会社」が別の事業者だからです。
この記事では、電力会社が倒産しても電気が止まらない仕組み、「最終保障供給」とは、倒産時の利用者の対応、倒産リスクの見極め方まで、わかりやすく整理して解説します。電力会社選びの安心材料として参考にしてください。
目次
電力会社が倒産しても電気は止まらない

電力会社(小売電気事業者)が倒産しても、電気の供給がすぐに止まることはありません。これは、電気を「売る会社」と「届ける会社」が別々の事業者だからです。電力自由化以降の制度設計で、利用者が安心して電力会社を選べるよう、契約電力会社が倒産・撤退しても電気の使用に影響しない仕組みが整備されています。
電力会社倒産時の基本
- 電力会社が倒産しても電気は止まらない
- 電気を「売る会社」と「届ける会社」は別の事業者
- 倒産時は最終保障供給に自動切替される
- 利用者は速やかに別の電力会社に乗り換える必要あり
電気を「売る会社」と「届ける会社」は別
電力自由化以降、電気の事業は小売電気事業者(売る会社)と送配電事業者(届ける会社)に分かれています。
- 小売電気事業者:契約・料金プラン・請求書を担当(東京電力EP・オクトパスエナジー・CDエナジーダイレクトなど)
- 送配電事業者:電気を物理的に届ける(東京電力パワーグリッド・関西電力送配電など)
契約している小売電気事業者(電力会社)が倒産しても、送配電事業者は変わらず電気を届け続けるため、電気がすぐに止まることはありません。
過去の事例:新電力の撤退・倒産
2021〜2022年は燃料価格高騰が原因で、複数の新電力が事業撤退・倒産しました。例えば「ホープエナジー」や「F-Power」などの事例があります。これらの会社の契約者も、電気自体が止まることはなく、最終保障供給や別の電力会社へ切替えることで、引き続き電気を使い続けることができました。
最終保障供給とは?

電力会社が倒産・撤退した場合に、利用者の電気が止まらないようにする仕組みが「最終保障供給」です。電力自由化以降の制度設計の中で、すべての利用者の電気の安定供給を守るために設けられました。
最終保障供給の仕組み
最終保障供給は、各エリアの送配電事業者が、行き場のなくなった利用者の電気供給を引き受ける制度です。
- 東京電力エリア → 東京電力パワーグリッドが供給
- 関西電力エリア → 関西電力送配電が供給
- 中部電力エリア → 中部電力パワーグリッドが供給
電力会社が倒産した時、自動的にそのエリアの送配電事業者の最終保障供給に切り替わるため、利用者が何もしなくても電気は使い続けられます。
最終保障供給の料金は割高
ただし、最終保障供給の料金は通常の料金プランよりも割高に設定されています。これは、最終保障供給があくまで「緊急時の暫定供給」という位置づけだからです。
通常の料金プランの1.2〜1.3倍程度の料金になることが多いため、最終保障供給に切り替わったら、できるだけ早く別の電力会社に切り替えることが推奨されます。
最終保障供給の期間制限
最終保障供給は原則として暫定供給のため、長期間続けて使うことは想定されていません。利用者は早急に別の小売電気事業者と契約することが求められます。
各送配電事業者から「別の電力会社に切り替えてください」という案内が届くことが一般的です。
※最終保障供給の料金水準や運用は2026年5月時点の制度に基づきます。最新情報は経済産業省や各送配電事業者の公式情報をご確認ください。
電力会社が倒産した時の流れと利用者の対応

契約している電力会社が倒産した場合、電気の切り替わりはほとんど自動で行われるため、利用者が大きな手続きをする必要はありません。ただし、最終保障供給は割高なため、早めに次の電力会社を検討することが大切です。ここでは、倒産が発生してから新しい電力会社に乗り換えるまでの全体の流れと、各ステップで利用者がやるべきことを順に整理します。
1. 電力会社からの通知を確認する
通常、電力会社が事業撤退・倒産する時は、事前に契約者に通知されます。「●月●日をもって電気の供給を終了します」「別の電力会社にお切替えください」といった案内が郵送・メール・SMSで届くため、見落とさないようにしましょう。
突然倒産する場合は通知が間に合わないこともあるため、契約している会社の公式サイトや業界ニュースで撤退・倒産の発表が出ていないか、時々確認しておくと安心です。
2. 最終保障供給への自動切替
電力会社の供給終了日(倒産日)を境に、そのエリアの送配電事業者の最終保障供給に自動切替されます。利用者が手続きをしなくても、電気は止まらず使い続けられます。
この時点で利用者が特別に何かをする必要はありませんが、最終保障供給の料金は通常の1.2〜1.3倍程度と割高なため、できるだけ早く次の電力会社の検討を始めることが大切です。
3. 別の電力会社の検討と必要書類の準備
最終保障供給に切り替わったら、すぐに別の電力会社を検討します。料金プラン・サポート体制・財務の安定性などを総合的に判断して選びましょう。
新しい電力会社の申し込みには、以下の情報が必要です。
- 契約者氏名・住所
- 供給地点特定番号(検針票やマイページに記載)
- お客様番号(電力会社が割り当てる番号)
- 支払い方法(口座情報・クレジットカード情報)
倒産する電力会社のマイページにアクセスできるうちに、これらの情報を控えておくとスムーズです。東京電力エリアの場合は、自分に合った電力会社・料金プランを比較できる「東京・関東でおすすめの電力会社」もあわせてご参照ください。
4. 新しい電力会社への乗り換え
別の電力会社に申し込めば、乗り換え手続きは完了します。立ち会いや工事は不要で、新しい電力会社が送配電事業者との手続きを代行してくれます。
乗り換えにかかる期間は通常1〜2ヶ月程度です。最終保障供給の割高な料金期間を最小化するためにも、早めに動くことが大切です。
5. 払い込み済み料金や前払い金の取り扱い
倒産前に支払った料金や前払い金は、倒産処理の中で精算されます。月払いの料金はサービス提供分が通常通り処理されますが、多額の前払いをしていた場合、全額が返ってくるとは限らず、債権者の一人として配当を受ける形になります。
そのため、新電力に乗り換える際は、長期前払いプランを避けて月払い・後払いプランを選ぶのが安全です。
電力会社の倒産リスクを見極める方法

すべての新電力に倒産リスクがあるわけではありませんが、契約前にいくつかのポイントを確認することで、リスクの高い電力会社を避けやすくなります。
1. 会社の規模・資本金
電力事業は燃料調達・電力市場での取引など、多額の資金が必要なビジネスです。資本金が小さく、契約者数も少ない会社は、燃料価格高騰時に経営が苦しくなる傾向があります。
業界団体や経済産業省の認可情報を確認すると、各社の規模感がわかります。
2. 親会社・出資元の信頼性
新電力の中には、大手のグループ会社や大手ガス会社の子会社が運営しているところもあります。親会社の信頼性が高い場合、財務的にも安定している可能性が高いです。
例えば、東京ガスのグループ会社、ENEOSグループ、東京電力の関連会社などは、財務基盤が比較的安定していることが多いです。
3. 料金プランの仕組み
電力市場価格に直接連動する「市場連動型プラン」を提供している会社は、市場価格が安定している時は利益を出しやすい一方、市場価格が高騰すると経営に大きな影響を受けます。
「市場連動型プラン」を主軸にしている会社は、過去にも撤退するケースが見られました。
4. 業界の動向や口コミをチェック
契約前には、業界ニュースや利用者の口コミを確認しておくと、リスクの早期把握に役立ちます。撤退・倒産の噂が出ている会社は、慎重に判断するとよいでしょう。
電力会社の倒産に関するよくある質問
電力会社の倒産について、よく寄せられる質問とその回答をまとめます。最終保障供給の使い方や、乗り換え手続き、料金の取り扱いなど、気になりがちなポイントを整理しました。
Q. 電力会社が倒産すると、電気はどれくらいで止まりますか?
A. 倒産しても電気は止まりません。最終保障供給に自動切替されるため、利用者が手続きをしなくても電気は使い続けられます。ただし、最終保障供給は割高なため、できるだけ早く別の電力会社に乗り換えることが推奨されます。
Q. 倒産前に支払った料金は返ってきますか?
A. 月払いの料金は、サービス提供分は通常通り処理されます。前払い金や大幅な前払いをしていた分は、倒産処理の中で精算されますが、全額が返ってくるとは限りません。
Q. 新しい電力会社への乗り換えに費用はかかりますか?
A. ほとんどの場合、乗り換え費用は無料です。新しい電力会社に申し込めば、立ち会いや工事もなく、自動的に切り替わります。
Q. 倒産しないと聞いている大手電力会社(東京電力など)から新電力に乗り換えても大丈夫ですか?
A. 新電力に乗り換えても、倒産時には最終保障供給に切り替わるため電気が止まる心配はありません。ただし、料金プランや事業者の安定性は、契約前にしっかり確認することが大切です。
まとめ:電力会社の倒産と電気の供給
電力会社が倒産しても、電気の供給はすぐに止まりません。送配電事業者の最終保障供給に自動切替されるため、利用者は電気を使い続けることができます。ただし、最終保障供給の料金は割高なため、早めに別の電力会社に乗り換えることが大切です。本記事のポイントを最後に整理します。
電力会社倒産時のポイントまとめ
- 電力会社が倒産しても電気は止まらない(最終保障供給に自動切替)
- 最終保障供給は送配電事業者が暫定的に供給する制度
- 最終保障供給の料金は通常の1.2〜1.3倍程度と割高
- 速やかに別の電力会社に乗り換えるのがおすすめ
- 倒産前の前払い金は精算されるが、全額返金されないこともある
- 契約前は会社の規模・資本・親会社などで安定性を確認
新電力の選び方や、信頼できる電力会社の見極め方は、シミュレーションで自分の使用量に合ったプランを比較することから始めるとよいでしょう。
東京電力エリアの場合は、「東京・関東でおすすめの電力会社」もあわせてご参照ください。
この記事を監修した人
電力自由化研究家
(元・大手電力会社社員)
大手電力会社に12年間勤務し、料金プラン設計・法人営業を担当した業界経験者。電力会社の「中の人」だった視点から、公式サイトには書かれていない注意点や料金表示のカラクリを発信しています。自身も退職後に3社の電力会社を切り替えた実体験あり。当サイトでは全記事の監修および乗り換え関連記事を担当。プロフィール詳細はこちら